農地問題について

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地目:田(水田)  
 土地改良区が係わる
 水田生産調整が係わる 
  水稲生産実施計画書兼営農計画書
農地に係わる経費 
 固定資産税
 (水田)土地改良区賦課金
 
 
地目:畑 
 
農地に係わる経費 
 固定資産税
 
 

土地改良区賦課金を支払わないと、どうなるの?

農地法改正の議論より重要!

田んぼを返されたが、借りてくれる農家がいない。
どうする?

じゃあ耕作放棄地にしよう・・・・と思っても! 土地改良区費や固定資産税を払っていかなければならない。
なぜ、田んぼを作らないのに、土地改良区賦課金を支払わなければいけないの? 
と、よく聞こえてきます。
また、耕作放棄地にしたら周辺の農家から苦情が出る。
耕作放棄地にしても草刈り等の管理するようにと言われる。
でも、返されても私は年金で暮らしているようなもの、そこに水利費までは払えない・・・

 
じゃあ、賦課金を払わないと、どうなるの?
<一般的な解釈>

未収金の原因には、主に、昨今の農業情勢や米価低迷、農家経済の悪化による事が多い。
また、農業者の高齢化、耕作放棄地の増加、農村集落の構造変化により年々増加傾向にある。
未納問題は土地改良区運営が困難となる。
賦課金をまじめに納入している組合員とそうでない組合員との間に不平等感が広まる。
賦課金徴収率が低くなると土地改良工事が出来なくなる。
まず、賦課金未納が生じた場合、徴収権の時効中断措置を講じることが必要です。
時効の中断措置としては督促状を送付する、分割納付延納に関する承諾書を組合員からもらうなどです。
 
督促状の発送手続きなどを行っても、滞納者が賦課金を支払わない場合は滞納処分を行うことなります。
滞納処分としては、まず土地改良法上、市町村に徴収請求を行う事ができます。
請求を受けた市町村が、請求ができないか請求が未了の場合に、土地改良区の理事が滞納処分を行います。
土地改良法第39条の5項により、認可を受けた理事には、税務上の徴収職員または、徴収吏員の権限が与えれます。
また、滞納処分を土地改良区の職員に委任することはできないと規定されています。
したがって、滞納処分は、土地改良区の理事しか行なえません。

 
<解説> 一般的な情報で纏めてみました。
通常の土地改良区の手段

 

督促

電話や文書・訪問による催促で可能な限り滞納整理を行います。
そういった督促状の発送手続きなどを行っても、滞納者が賦課金を支払ってもらえない場合は滞納処分を行うことなります。
土地改良区は※組合員に督促し、再度の督促においても納付期限までにこれを納付しない場合には、土地改良区はその徴収を市町村に請求することとなる。
※組合員:土地改良区の地区内にある土地につき土地改良法第3条に規定する資格を有する者は、その土地改良区の組合員とする。(下記別表参照)
 

土地改良区は市町村に請求できる。

土地改良区は、督促又は請求をした場合において、その督促又は請求を受けた者がその督促又は請求で指定する期限までにこれを完納せず、又は履行しないときは、市町村に対し、その徴収(夫役又は現品については、これに代るべき金銭の徴収)を請求することができる。
市町村は、前項の規定による請求があつた場合には、地方税の滞納処分の例によりこれを処分する。
この場合には、土地改良区は、その徴収金額の百分の四に相当する金額を当該市町村に交付しなければならない。
市町村が第3項の請求を受けた日から30日以内にその処分に着手せず、又は90日以内にこれを終了しない場合には、理事は地方税の滞納処分の例により都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる。
また、土地改良区法第38条の規定により市町村が行う賦課金の徴収事務は、土地改良区の委任を受け、土地改良区に代わって行うものであって、
地方自治法の規定に基づく市町村の固有の権限として行う市町村の収入の徴収事務ではない。
よって 土地改良区の賦課金の滞納については地方自治法の規定による強制徴収の対象とならず、土地改良区法第39条第3項の請求をまって初めて可能となるものである。

 
市町村が徴収を終了しない場合は、理事は都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる。

都道府県知事は、前項の認可をしたときは、遅滞なくその旨を当該市町村に通知しなければならない。

 
滞納処分を行う理事の資格

滞納処分の認可は土地改良区に与えるものでは無く、理事に与えるものであり手続きは土地改良区を代表する理事が行う事とされたい。となっている
参考:市町村は、徴税吏員等の任命に関する規程により担当職員が出来る。
 

時効は?

 土地改良区の賦課金の時効については土地改良法上の定めはないが、徴収権の時効は国税及び継方税の例により5年と定められていおり、かつ、賦課権の実行はその原因の発生した時点に速やかにされるべきものであることから、徴収権の時効の5年以上の年数が認められることは不合理である。このことからすればその時効は納期限から5年であるべきと解されている。

 
滞納処分

 
賦課、督促、差押え、換価
差し押さえ物件に抵当権が設定されている場合の優先順位は?
国税徴収法第8条では、
「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。」とされています。
(なおここでいう公課とは、国税徴収法第2条5号で「滞納処分の例により徴収することができる債権のうち国税(その滞納処分費を含む。以下同じ。)及び地方税以外のものをいう。」と定義されています。)
つまり、国税は他の債権に対して優先して納税者の財産から徴収される、というのが日本における原則ということになります。(国税優先の原則)
しかし、それでも抵当権の方が優先される場合もある。
国税徴収法第16条では、
「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。」と定められています。
要するに、抵当権と国税の場合、抵当権設定時期と納税の法定納期限のどちらの日が早いかによって優先される方が決まる。

 
地方税法
(滞納処分の停止の要件等)

第十五条の七 地方団体の長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
一 滞納処分をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 地方団体の長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 地方団体の長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る地方団体の徴収金について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その地方団体の徴収金が限定承認に係るものであるとき、その他その地方団体の徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、地方団体の長は、前項の規定にかかわらず、その地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を直ちに消滅させることができる。

 
私見

土地改良区賦課金の内容は、耕作する為に必要な水を引くための経費や圃場整備工事負担金等がある。
実際は、耕作者が負担する経費と農地所有者が負担(農地の資産に係わる部分)する経費に分かれる。
但し、これまで地域によっては全額を耕作者が負担し地代で調整する等、様々な形が取られていた。
米の転作や米価の暴落と一緒に様々な問題が発生してきたという事である。
 
法律では土地改良区に対し権限を持たせているが、土地改良区賦課金の問題は年々高まっている。
多くの農家にも不満が高まっているようだ。
 
水田の転作政策は終わったが、依然として生産調整は継続している。
他作物への切り替えにしても、地域地帯の条件によっては切替を出来ない状況もある。
現在、農業後継者不足により農業者の減少が急激に加速されている。
これまで地域を支えてきた農業者の多くは、終戦から昭和26年生まれの農業者であり、
過去の日本の高度経済成長とともに農業従事者が減少をたどってきた。
依然として農業だけでは生活できない農家が多い、農業は儲からないという風潮はいまもなお変わってはいない。
これまで水田転作政策に対し膨大な助成金(税金)を投入してきたのだが、現状は益々悪くなっている状況だ。
土地改良区賦課金の未納問題は米価の低迷と水田農業助成金の減額による影響も大きいが
地域によっては土地改良法の第1条の土地改良区設置の目的及び原則をなしていない事が最大の原因とも思われる。
 
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土地改良法
(目的及び原則)
第1条 この法律は、農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定めて、農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もつて農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とする。
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農地を返されて困っている所有者は、賦課金が払えない、払う意思がない場合は、土地改良区賦課金は農地に対して賦課されるものである事から、農地を差し押さえして頂いて、換価して頂く事が最善策なのかもしれない。
 
農地はそもそも日本国のものであり、歴史上において権利者が変わってきただけの事であり
固定資産税や土地改良区賦課金は農家にとって「年貢」だと言う意見もある。
 
今、物価高騰による農業生産費の急増は農業者にとっては戦後最大の危機を迎える可能性も高い。
現在、農家で育った若者も行政、関係機関、農業関連企業にも就職している方々も多い。
未来の自分たちや子供の食糧を守るという大事な役割をもう一度真剣に考える時期なのかもしれない。

 

第1条 この法律は、農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定めて、農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もつて農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とする。2 土地改良事業の施行に当たつては、その事業は、環境との調和に配慮しつつ、国土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに国民経済の発展に適合するものでなければならない。

 

第3条 土地改良事業に参加する資格を有する者は、その事業の施行に係る地域内にある土地についての次の各号のいずれかに該当する者とする。一 農用地であつて所有権に基づき耕作又は養畜の業務の目的に供されるものについては、その所有者二 農用地であつて所有権以外の権原に基づき耕作又は養畜の業務の目的に供されるものについては、政令で定めるところにより、農業委員会(農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号)第3条第1項ただし書又は第5項の規定により農業委員会を置かない市町村にあつては、市町村長。以下同じ。)に対しその所有者から当該土地改良事業に参加すべき旨の申出があり、かつ、その申出が相当であつて農業委員会がこれを承認した場合にあつては、その所有者、その他の場合にあつては、その農用地につき当該権原に基づき耕作又は養畜の業務を営む者三 農用地以外の土地であつて所有権に基づき使用及び収益の目的に供されるものについては、その所有者四 農用地以外の土地であつて所有権以外の権原に基づき使用及び収益の目的に供されるものについては、その権原に基づき使用及び収益をする者が、政令で定めるところにより、その所有者の同意を得て農業委員会に対し当該土地改良事業に参加すべき旨を申し出た場合にあつては、その者、その他の場合にあつては、その所有者

(権利義務の承継及び決済) 

(権利義務の承継及び決済)第四十二条 土地改良区の組合員が組合員たる資格に係る権利の目的たる土地の全部又は一部についてその資格を喪失した場合には、その者がその土地の全部又は一部について有するその土地改良区の事業に関する権利義務は、その土地の全部若しくは一部についての権利の承継又は第三条に規定する資格の交替によつてその土地の全部又は一部について組合員たる資格を取得した者に移転する。2 土地改良区の組合員が、組合員たる資格に係る権利の目的たる土地の全部又は一部についてその資格を喪失した場合において、前項の承継又は第三条に規定する資格の交替がないときは、その者及び土地改良区は、その土地の全部又は一部につきその者の有するその土地改良区の事業に関する権利義務について必要な決済をしなければならない。

(賦課金等の徴収の委任)

第38条 土地改良区は、政令で定めるところにより、市町村に対し、第36条第1項、第2項、第4項若しくは第9項又は第36条の3の規定により徴収すべき金銭、第42条第2項の規定による決済により徴収すべき金銭、第53条の8第2項の規定により徴収すべき金銭、同条第3項の規定により徴収すべき仮清算金及び換地計画又は交換分合計画において定める清算金(第89条の2第13項の規定により徴収すべき仮清算金等を含む。以下この条及び次条第1項において「賦課金等」と総称する。)並びに賦課金等に係る延滞金並びにその延滞金以外の前条の過怠金の徴収を委任することができる。

(賦課金等の徴収)

第39条 土地改良区は、賦課金等若しくはこれに係る延滞金又はその延滞金以外の第37条の過怠金を滞納する者がある場合には、督促状により期限を指定してこれを督促しなければならない。

2 土地改良区は、夫役現品の賦課を受けて定期内にその履行をせず、且つ、夫役現品に代るべき金銭を納付しない者がある場合又は夫役現品若しくはこれに代るべき金銭に係る延滞金を納付しない者がある場合には、督促状により期限を指定してこれを督促しなければならない。この場合において、当該夫役又は現品の必要が既になくなつているときその他特別の事情があるときは、当該夫役又は現品に代るべき金銭につき、期限を指定してその納付を請求しなければならない。

3 土地改良区は、前二項の規定による督促又は請求をした場合において、その督促又は請求を受けた者がその督促又は請求で指定する期限までにこれを完納せず、又は履行しないときは、市町村に対し、その徴収(夫役又は現品については、これに代るべき金銭の徴収)を請求することができる。

4 市町村は、前項の規定による請求があつた場合には、地方税の滞納処分の例によりこれを処分する。この場合には、土地改良区は、その徴収金額の百分の四に相当する金額を当該市町村に交付しなければならない。

5 市町村が第3項の請求を受けた日から30日以内にその処分に着手せず、又は90日以内にこれを終了しない場合には、理事は、地方税の滞納処分の例により、都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる。

6 都道府県知事は、前項の認可をしたときは、遅滞なくその旨を当該市町村に通知しなければならない。

7 第4項及び第5項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税及び地方税の例による。

8 第1項又は第2項の督促は、時効の更新の効力を有する。

 

地方税法

(滞納処分の停止の要件等)
第十五条の七 

地方団体の長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。

一 滞納処分をすることができる財産がないとき。

二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。

三 その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。

2 地方団体の長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。

3 地方団体の長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る地方団体の徴収金について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。

4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。

5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その地方団体の徴収金が限定承認に係るものであるとき、その他その地方団体の徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、地方団体の長は、前項の規定にかかわらず、その地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を直ちに消滅させることができる。